創業160年の三味線文化を、未来へ継ぐ ブランド設計

大阪府・堺市にある老舗三味線店、つるや楽器様。
創業160年にわたり、日本の伝統楽器である三味線の製造販売をされています。

今回ご相談いただいたのは、6代目の石村真一朗さん。
ご自身も三味線奏者として活動されています。

この度、オリジナルブランド「奏継 SOUKE」の立ち上げにつきブランド設計と催事出展のサポートをさせて頂きました。

業界が抱える課題から生まれたプロジェクト

近年、三味線奏者の減少により、業界全体にも変化が起きています。使われなくなった三味線は、フリマサイトなどで安価に流通してしまう。

それはつまり「引き取り手がいない」という現実です。

この状況が続けば、

  • 新しい三味線が求められなくなる
  • 職人の仕事が減る
  • 文化そのものが衰退していく

そんな危機感を感じているとのことでした。

「捨てる」のではなく、「次へつなぐ」

さらに、つるや楽器様には行き場を失った三味線が持ち込まれることも増えていました。

年間、数十本。

どれも良質な素材で作られているにも関わらず、役目を終え、廃棄されていく。
「このまま終わらせるのではなく、別の形で活かせないか」その想いから始まったのが、今回のプロジェクトです。

作家との「協奏」によって生まれる新たな価値

つるや楽器様から作家へ、三味線のパーツを素材として提供し、その素材をもとに、アクセサリーや装飾品として新たな作品が生まれます。

ここで大切なのは、単なるアップサイクルではないという点です。

三味線のパーツを利用して作られた商品

目指しているのは「循環」

この取り組みは、

  • 三味線を引き取ることで、持ち主が喜ぶ
  • 素材が新たな形で生きる
  • 作品として新しい価値が生まれる
  • 三味線に興味を持つ人が増える
  • 新たな三味線の需要につながる
  • 職人の仕事が守られる

という、循環を生み出すプロジェクトです。
単なる再利用ではなく、文化と仕事を未来へつなぐ仕組みでもあります。

「どう届けるか」を整理するブランド設計

プロジェクトとしての意義は明確でしたが、

  • どう見せるのか
  • 誰に届けるのか
  • どのように展開していくのか

その部分が整理されていない状態でした。

そこで、ブランドとしての立ち上げをご提案し、

  • コンセプト設計
  • ストーリー設計
  • ネーミング開発
  • 立ち位置・在り方の整理

を行いました。

ヒアリングをもとにブランドの骨子を整理していきます

見えてきたのは「音を継ぐ」という本質

ヒアリングを重ねる中で見えてきたのは、

この取り組みは

  • 素材を再利用することでも
  • 商品を作ることでもなく

音を、次の形へと継いでいくこと

だという本質でした。

ブランド名「奏継(SOUKE)」に込めた意味

そうして生まれたのが「奏継(SOUKE)」という名前です。

  • 奏:音を奏でる
  • 継:受け継ぐ

この2つの漢字で、音と文化を次の時代へつないでいくという想いを表現しています。

また、海外への発信も視野に入れているからこそ、
あえてアルファベットだけではなく、漢字を軸にしたネーミングを採用しました。

漢字は、意味そのものを内包する文字。
視覚としての強さと、日本らしさを同時に持ち合わせています。

長い歴史を持つつるや楽器様だからこそ、
日本の文化的背景や美意識を、そのままの形で伝えていくことも大切にしました。

さらにこの読みには、
「宗家(SOUKE)」という意味も重なります。

伝統を守り、次へと継ぐ存在。
前に出るのではなく、全体を支える立場。

このブランドの在り方そのものです。

奏継は「黒子」である

ブランドカラーは黒。

黒は主張する色ではなく、他を引き立てる色です。

奏継は、

  • 作家の表現
  • 三味線の記憶
  • 職人の技

それらが最大限に活きるための存在。

つまり、主役ではなく、舞台を支える“黒子”のようなブランドです。

ロゴもまた「協奏」から生まれる

ロゴデザインは、石村さんが三味線演奏でコラボしている書家・桔梗さんによるもの。

ここでもまた、

  • 奏者
  • 書家
  • ブランド

それぞれの表現が重なり合う「協奏」によって生まれています。

催事出展という「実践の場」

今回は、京都伊勢丹での催事出展が決まっていたため、
そこを一つのゴールとして設計を進めました。

コンセプト、ネーミング、見せ方が整うことで、ただ「商品を並べる」のではなく背景や価値が伝わる場として展開できるようになります。

また、お客様の反応を直に知ることができ今後のブラッシュアップのためには本当に良い機会でした。

ブランドは「場」である

奏継は、

  • つくる人が主役であり
  • 素材が語り
  • 想いが重なる

そんな場としてのブランドです。

今回のように、

  • 想いはある
  • 取り組みもある
  • でも、どう伝えていいか分からない

その状態からでも、ブランドはしっかりと形にすることができます。

私たちは、

表面的に整えるのではなく、その奥にある価値を見つけ、言葉にし、伝わる形にすることを大切にしています。


「自分たちの強みが言葉にできない」
「方向性に迷っている」

そんな時は、ぜひ一度ご相談ください。